"フェアトレード"という言葉を聞く機会は多く、「適切な価格で取引されていることが保証されているもの」といった、なんとなくの理解はあるものの、フェアかフェアじゃないかの基準ってどうやって決まっているのかご存知ではない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、フェアトレードの基準について特に価格にフォーカスしてお話しできればと思います。
※この記事でお話しする"フェアトレード"は、全て"国際フェアトレード認証"を基準に考えているものです
目次
"フェア"な価格とは
フェアな価格の定義
フェアトレード価格とは、商品や地域ごと設定された価格表が存在し、記載された価格以上での買取を生産者に保証していることが"フェア"であると定義づけられています。
価格表には「最低価格」と「フェア価格」の2つが存在しており、簡単に説明すると以下の通りです。
- 最低価格:市場での価格がどんなに下がっても、保証すべき価格
- フェア価格:市場の水準を鑑みて、十分なプレミアムを乗せた価格
最低価格を保証することにより、生産者の生活が安定します。Market Insiderが提供しているコットンの取引価格推移を見ると、最高値では2ドル弱ですが、最低値では0.4ドルほどになっており、その差は約5倍です。自分の給料が、前触れなく1/5になるとしたら安心して生活できませんし、将来を見据えた計画も全く立てられません。そういった意味で、最低価格は非常に重要な役割を果たしているのです。
対象地域はどのように決まるのか
フェアトレードの目的は、恵まれない環境(不利な立場)に置かれた生産者のために、公正な取引を推進することを目的としているため、対象の地域が決められています。
地域の決定にあたって、公式サイトには"1 人あたりの所得、富の格差、その他の経済的および社会的指標、生産者をサポートし、長期的な影響を達成するためのフェアトレード自体の有効性などの要因を考慮している"とあります。
具体的な国と地域については、こちらを参照ください。
価格はどのように決まるのか
価格の決定には、収穫量・労働者・かけている手間・経済状況などが加味されており、大雑把にまとめると以下の通りです。
- 収穫量:需要と供給によって価格が決まる一般的な考慮材料
- 労働者:雇用状況も加味して、どのくらいの費用がかかっているのかを加味しています
- 手間:栽培やその後の加工において、どの程度の手間がかかっているのかを加味しています
- 経済状況:必要な機材・オフィスの価格をはじめ、税金や保険の費用などを総合的に加味しています。
それ以外にも、栽培の準備にどの程度の投資が必要なのか、輸送費がどの程度かかっているのか、保管にかかっている費用、様々な要因により販売できない商品の割合など、幅広い観点で総合的に決定されています。
価格の決定については、こちらに25ページに渡る資料があり、もっと詳細を気になる方は1次情報をあたっていただくとよいかもしれません。
グリーンウォッシュへの対策
ここまでお話ししてきたように、国際フェアトレードは、非常に幅広い観点で基準を決めてられており、社会問題を本質的に解決できる基準を満たしたものだけに認証を与えています。
世の中には、"グリーンウォッシュ"と言って、部分的にサスティナブルな取り組みを行っているだけで、地球にやさしい商品として、消費者に購買を促す手法が多く存在しています。しかし、部分的な取り組みだけで、社会問題が解決に向かうというわけではなく、一連の取り組みをセットで行うことが重要です。
フェアトレード認証は、定めるすべての条件を満たした事業者に付与されるので、グリーンウォッシュを行なっている企業は含まれづらく、適切な商品を見分けるために、認証ラベルのついた商品は非常に優秀です。
実は価格だけではないフェアトレード基準
フェアトレードと聞くと、経済条件の話だけだと思いがちですが、フェアトレードジャパンのサイトを見ると、実は社会的基準(労働環境など)や環境的基準(環境への配慮など)も含まれていることがわかります。
また、経済的基準でも、価格以外に「長期的な取引の推進」や「必要に応じた前払いの対応」なども要件に含まれており、ただ高い価格で買い取れば良いというものではないのです。
今回は、冒頭でお話しした通り、価格面にフォーカスしてお話しできればと思うので、これ以上は触れませんが、国際フェアトレード認証を受けた商品は上記のような基準も満たしている素晴らしい商品であるとご認識いただけるきっかけになると嬉しいと思い、触れさせていただきました。
原価の見える服屋さんで取り扱っている商品は、全て何らかの認証を得ている商品であり、認証についての詳細も商品詳細ページに記載するようにしているので、気になった方は、ぜひホームページを覗いていってください!