ファッション業界が気候問題に対してできること

ファッション業界が気候問題に対してできること

ファッション業界は、気候変動にどのように対応すべきでしょうか?この問いに答えるために、マッキンゼーとグローバル・ファッション・アジェンダが共同で作成した「FASHION ON CLIMATE」というレポートを要約してみました。このレポートでは、ファッション業界の温室効果ガス排出量の現状と将来のシナリオ、排出量を削減するための取り組み、持続可能な未来を実現するための行動指針などについて詳しく解説しています。エシカルファッションやサスティナブルファッションに関心のある方は、ぜひ参考にしてください。

目次

ファッション業界の温室効果ガス排出量と将来のシナリオ

ファッション業界は、気候変動に大きな影響を与えています。マッキンゼーの調査によると、2018年には約21億トンの温室効果ガスを排出しており、これは世界全体の約4%に相当します。フランス、ドイツ、イギリスの3か国の経済規模と同じくらいです。このままでは、気候変動を抑制するために国際的に合意された1.5度目標を達成することができません。2030年までに排出量を11億トンに減らす必要がありますが、現在のペースでは21億トンにとどまると予測されています。つまり、目標値の約2倍です。ファッション業界は、人口や消費パターンの変化によって成長が続く可能性が高く、それが排出量の増加につながります。何も対策をしなければ、2030年には約27億トンに達するでしょう。

温室効果ガス排出量を削減するための取り組み

ファッション業界は、温室効果ガス排出量を削減するために様々な取り組みを行っています。例えば、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーへの切り替え、素材や製品の再利用やリサイクル、消費者への持続可能な選択肢や行動の促進などです。しかし、これらの取り組みだけでは十分ではありません。より強力で迅速な対策が必要です。レポートでは、以下の4つの分野で加速度的な削減努力(Accelerated Abatement Scenario)を行うことを提案しています。

  • 素材:より低炭素な素材や再生素材を使用し、素材生産段階での排出量を半減させる。
  • 製造:エネルギー効率を高め、再生可能エネルギーを導入し、製造段階での排出量を40%削減する。
  • 使用:消費者による洗濯や乾燥などの使用段階での排出量を30%削減するために、より耐久性の高い製品を提供し、消費者に持続可能な行動を促す。
  • 廃棄:廃棄物の発生を減らし、再利用やリサイクルを促進し、廃棄段階での排出量を20%削減する。

ファッション業界の持続可能な未来を実現するための行動指針

ファッション業界が気候変動に対応するためには、全体的で協調的なアプローチが必要です。レポートでは、以下のような行動指針を示しています。

  • ブランドや小売業者は、自社の排出量を測定し、削減目標を設定し、実行計画を策定すること。また、上流や下流のパートナーと協力して、排出量の削減に貢献すること。
  • 素材や製造業者は、エネルギー効率や再生可能エネルギーの導入など、自社の排出量を削減するための投資やイノベーションを行うこと。また、ブランドや小売業者と連携して、データやベストプラクティスを共有すること。
  • 消費者は、自分のファッションに関する選択や行動が気候変動に与える影響について意識し、より持続可能なオプションを選ぶこと。例えば、低炭素な素材や再生素材の製品を購入したり、製品の寿命を延ばしたり、再利用やリサイクルをしたりすること。
  • 政策立案者や投資家は、ファッション業界の温室効果ガス排出量削減に向けて、インセンティブや規制などの支援策を提供すること。また、気候変動への取り組みに関する情報開示や透明性の向上を促すこと。

まとめと展望

ファッション業界は、気候変動に対して重要な役割を果たすことができます。しかし、それには現在以上に積極的で迅速な対策が必要です。レポートでは、「FASHION ON CLIMATE」のタイトル通り、「ファッションが気候変動にどう影響するか」だけでなく、「ファッションが気候変動にどう対応するか」にも焦点を当てています。ファッション業界が持続可能な未来を実現するためには、全ての関係者が協力して行動しなければなりません。エシカルファッションやサスティナブルファッションは、もはや流行や選択肢ではなく、必須条件です。

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